愚者のつぶやき その7
日本と欧米のゲームの違いとその原因

ネットのおかげで今では海外からの意見を手軽に見ることが出来ますが、
その中には日本のゲーム、特にRPGに対する不満も少なくありません。

今回は日本のゲームが欧米で受けいれられない理由、
また欧米のゲームが日本で受けいれられない理由を
個人的な推測などを含めて書いていこうと思います。
なおこれはあくまで個人的な意見であり絶対的なものでは無く、
場所によっては間違いや思い込みな部分も含まれている
事をあらかじめご了承ください。



・夢かリアリティか

基本的に日本人はゲームに対し非現実的なフィクションを求めるのに対し
欧米人の場合はリアリティや、現実の世界を忠実に再現することを追求します。

このため洋ゲーでは相手を攻撃すれば血が噴き出し、
倒したらその場に死体が残り、場合によっては相手が持っているアイテムを手に入れるには
死体あさりをしなければならないゲームも珍しくありません。

一方で日本のRPGではたとえ相手がグロテスクで残虐な魔物であったとしても
「人や生き物を殺す」シーンを直接描くことはまずありません。

このため相手を剣で斬っても血は流れないし、HPが0になったモンスターはすぐに跡形も無く消え去り、
持っていたアイテムだけがその場にポトンと落ちるようになっている場合がほとんどです。
また、メッセージウインドウにも「たおした」とか「やっつけた」と出るようになっており、
「殺した」と出る事はまずありません。


コレは日本人が非現実的なフィクションをゲームに求めているためで、
ここを変に「リアル」に描いてしまうとまず間違いなく日本人には嫌われるでしょう。

海外ではメジャーなFPSやTPSが日本で流行らないのは
その辺りが「リアルに」描かれている、あるいは描かざるを得ないジャンルなためで
ペーパーマンボーダーブレイクのように相手を紙やロボットにするといった
工夫をしないと受け入れてくれないでしょう。



これと同じ理屈で、欧米のRPGでは一番最初に訪れる村でもラストダンジョン手前の村でも
同じように最弱装備と最強クラスの装備を一緒に売っている
場合が多く、
その品揃えもJRPGからすれば信じられないほど豊富で
武器だけでも一つの村で30〜40種類、
防具に至っては頭、胸、腰、足、手等各部位ごとに10〜15種類ほど揃えている場合もあり、
日本人からすれば「どれを買っていいのか分からない」と混乱すると思います。

これは「人々が生活している以上、日用雑貨から竜殺しの武器まで一通りそろっていないとおかしい」
というリアリティを追求する欧米人の考えが根底にあるためで
JRPGによくある「最初の村には弱い装備のみしか無く、そこから離れるに従って強い装備のみが並ぶようになる」
品揃えはおかしい。という意見はこういった考え方の違いから来ていると思われます。


・一本道か自由か


また「日本のRPGのシナリオは同じようなものばかりで一本道なものがほとんどだ」
とシナリオ展開に苦言しているのも良く見ますが
これは日本人は単純に王道と呼ばれる物が好きで、同じようなお話でも十分楽しめるからです。
水戸黄門やアンパンマンはそういった王道ストーリーの究極的な形で
毎回オチは同じなのに人気が衰えること無く続いているのはそういった王道好きの例の一つと言ってよいでしょう。
またゲームにおけるストーリーは小説やマンガのような物という考えもあるため
1本道で無いとむしろ困ると考える人もいるでしょう。

たとえば「魔物に占拠された関所を通らなくてはならない」場合、
JRPGの場合、その魔物の親玉と正面から戦いを挑む以外に選択肢はありません。
ここでその親玉を暗殺する、食べ物に毒を盛って毒殺する、
あるいは関所を通らずに済む抜け道を作る、魔物の親玉を買収して通り抜ける、
といった複数の選択肢を用意しても「どれを選ぶのが一番いいのか分からなくて迷う」と
不満に思う
人が出てくる可能性があります。
(逆にこういう選択肢をつけておけば「自分だけの冒険が出来る」と欧米の人には喜ばれます。)


・イケメンかガチムチか


日本のゲームに登場する人型のキャラはそのほとんどがジャンルを問わず細身でマンガやアニメ風の美少年美少女な一方で
欧米のゲームでは筋骨隆々とした男、そうでなくても現実の人間にかなり近い顔立ちの場合が多いです。
これも前述したリアリティを重視するか、フィクションを重視するかの違いが原因なのですが、
これ以外に娯楽文化の違いも大きく関わっています。

例えばアメリカではアメフトはもちろんラグビーにプロレス、さらにはボディビルが盛んで
「筋肉のついている男」を見る機会が非常に多く、筋肉に対する憧れも強いです。
このため洋ゲーの主人公達はいわゆるガチムチな大男で戦闘経験豊富なベテラン戦士である場合が多く、
その分年齢も重ねており、妻子持ちというのも珍しくありません。

一方日本ではそういった娯楽は非常にマイナーで、
「筋肉のついている男」を普段見る機会がとても少ないため
イロモノ、場合によってはゲテモノに見られる
ことが多くなってしまいます。

それよりもマンガやアニメのキャラクターの方が日本人にとってはずっと見慣れており、感情移入もしやすいため、
ほとんどの和製ゲームのキャラクターは瞳が大きく、鼻が極端に小さいマンガやアニメ風の少年少女になっています。


・まとめ


日本と欧米とではユーザーが求めている方向性に大きな違いがあり、
さらにはユーザーの周りにあるほかの娯楽にも決定的な差があるため
もうこの溝は埋まらない
と思います。

スクウェアエニックスのニーアゲシュタルト&レプリカントみたいに国内向けと海外向けの2バージョン作る、
あるいはトワイライトプリンセスや、Xブレイドのように
キャラデザインの時点であらかじめ海外でも受け入れられるように工夫しておく
といった方法で相手に合わせる形で製作するのが個人的には最善の策だと思います。
(Xブレイドの場合はキャラデザイナーがアニメオタクだったことが大きいけど・・・)





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