・STEELDIVER SUBWARS

「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」
マリオを世に送り出した宮本茂氏の言葉です。
本作はその魂を受け継いだ「アイデア」から産まれたゲームでしょう。



本作はいわゆるFPSですがこのジャンルでは
「歩いていたらスナイパーに頭を撃ちぬかれて即死」
とか
「物陰や曲がり角に潜んでいた敵に横から撃たれて死亡」といった具合に
見て回避するのが困難な攻撃や、そもそも何で倒されたのかが
分からないことが多いようです。

また、その構造上人を撃つ(あるいはゾンビを撃つ)事になるため、
描写的にどうしても残酷で血なまぐさくなりがちです。

しかしこのスティールダイバーサブウォーズでは
「プレーヤーを潜水艦にする」というアイデアで解決してしまいました。



本作では弾が魚雷になっているので弾のスピードが遅い上に
魚雷が接近するとどの方向から来るのかを知らせてくれるので
正面からの攻撃はもちろん、時には横からの攻撃を回避することですら
難しいですが不可能ではありません。
(この「難しいが不可能ではない」というバランスの上手さも高評価すべきポイントでしょう)

このため一般的なFPSのように狙撃や不意打ちで一方的に倒す事はほぼ不可能で
理不尽な死に方はしにくいようになっています。

また、潜水艦同士の戦いなので残酷な描写にならず、
FPSにしては極めて珍しくCEROはA(全年齢対象)です。
(これはプレーヤーを紙にするペーパーマンやロボットにするボーダーブレイクにも通じるアイデアでしょう)



他にもプレーヤーを潜水艦にすることで上下方向に自由に移動可能になり、
既存のFPS(プレーヤーが人間のゲーム)には無い立体的な戦いが出来るようになっていますし、
数は有限ですがその名の通り敵を追尾してくれる「ホーミング魚雷」
使用に制限があるものの、透明になってそれを回避するステルス機能、「マスカー」があるため
初心者でもとりあえずホーミング魚雷を撃って相手にマスカーを使わせる。という形で貢献可能と
このゲームならではの独自性もあります。



もちろんFPSの定石は健在で、基本である十字砲火は
潜水艦の形状から横から狙った方が的が大きくなるという形で非常に有効です。
FPSに慣れてる人もその経験が活かせるようになっています。



いわゆる基本プレイ無料のFPSにしてはかなり考え抜かれたゲームだと思います。
(無料版でオンラインプレイをするにはゲームコインが必要なので厳密には無料ではありませんが)
手垢のついたジャンルでも発想次第ではいくらでも面白く出来るいい例だと思います。



公式HP:http://www.nintendo.co.jp/3ds/eshop/jnuj/

戻ります